
300年続く酢蔵と、継ぐ者
福岡県・大川市。
筑後川の水と米に恵まれたこの地で、庄分酢は1711年に創業しました。
酒造りから始まった技術は、四代目の時代に酢造りへと受け継がれ、以来三百年以上にわたり、蔵の製法と味を守り継いできました。
現当主・高橋清太朗は醸造を専門的に学び、伝統を現代の感覚で磨き直しています。
家業とは、過去を守るだけでなく、時代に応じて進化させていくもの。
十五代にわたる蔵の歴史が、庄分酢のものづくりを支えています。

蔵付き酢酸菌が育てる、やさしい酸味
江戸期から伝わる製法を礎に、木桶や大きな甕(かめ)を用い、時間をかけて静置発酵を続けています。
くろ酢の原料には熊本・山都町の有機米を使用し、発酵の過程で味わいが穏やかに醸されていきます。
空調に頼らず、自然の移ろいとともに100日以上かけて育てる酢。
三百年の時間の中で均衡を築いてきた蔵に棲みつく酢酸菌が、香りと旨味に奥行きをもたらします。
冬はむしろで包み、夏は風を通す。
守るべき核心と、変えるべき工夫を見極めながら仕込みを重ねる。
自然の微生物と向き合う製法が、庄分酢の個性をかたちづくっています。

日本の発酵文化を世界へ
庄分酢は、麹・酵母・酢酸菌が連続して働く、日本独自の発酵から生まれます。
ひと振りで旨味を引き立てる調味料としての酢。
前に出る酸味ではなく、料理全体に奥行きを添える一滴です。
グリルした野菜にひと振り、スープの仕上げに数滴、シーフードや肉のマリネに。シンプルな料理ほど、その違いが際立ちます。
現在は北米を中心に13カ国へ展開。
日本の発酵文化が生んだビネガーとして、家庭のキッチンからレストランまで、新しい使い方が広がっています。
