醤油発祥の町に生まれた蔵
和歌山県・湯浅町。
紀伊水道に面したこの小さな港町は、日本の醤油文化の発祥地として知られています。
鎌倉時代、中国から伝わった径山寺味噌(金山寺味噌)の製法は、この地で独自の進化を遂げ、やがてそれは、日本の食文化を支える調味料「醤油」として結実。
湯浅醤油は海と山に囲まれた発祥の地に蔵を構え、八百年の発酵の歴史を受け継いでいます。

木桶が育てる、時間の旨味
仕込みは冬に始まり、熟成には一年半以上の時間をかけます。
もろみを仕込むのは、直径二メートルを超える吉野杉の木桶。
木桶に棲みつく微生物が、ゆっくりと発酵を導き、味に奥行きを生み出します。
原料は国産丸大豆、煎り割り小麦、そして五島灘のミネラルを含んだ角のないまろやかなにがり塩。
微生物の働きを見守りながら、人の手で丁寧に櫂(かい)入れを行います。
こうして生まれる醤油は、豊かな香りとまろやかで深い旨味を持ち、さまざまな料理の味を引き立てます。
発祥の地から、未来へ
五代目当主・新古敏朗は、湯浅の醤油文化を世界へ伝える担い手です。
蔵を公開し、醤油づくりを学べる体験や食育活動にも力を注ぐ。
近年はフランス・ボルドーでも醤油を醸造。
無農薬を貫く老舗ワイナリーとの協働は、ワイン文化と発酵の対話を生み出しました。
ワイン樽を使った発酵は、世界の料理人から高い評価を得ています。
発祥の地の伝統を守りながら、湯浅醤油は日本の発酵文化を世界へと広げています。


